液体ミルクは粉ミルクよりも簡単に赤ちゃんに飲ませてあげることができるため、海外では普通に利用されています。
スーパーなどで普通に売られているので、誰でも簡単に購入することができます。
しかしながら日本で液体ミルクを購入するには、amazonなどの通販を利用して輸入する必要があります。
日本で乳児用液体ミルクを販売することは、法律(厚生省規則)で認められていませんので、輸入せざるを得ないということですね。
液体ミルクとは
液体ミルクはまだまだメジャーなものとは言えないかもしれません。
外国では普通に利用されているのですが、日本では粉ミルクが当たり前となっていますからね。
液体ミルクとは、すでに栄養分を調整されたミルクがペットボトルやパックに入っている乳児用のミルクです。
常温で保存するものなので、ボトルのキャップを外し、乳首を付けてすぐに赤ちゃんに飲ませてあげることができます。
粉ミルクは哺乳瓶やスプーンなどを煮沸して、水を70度以上に沸騰させて粉ミルクを混ぜ、人肌に冷ました後に赤ちゃんに飲ませてあげます。
夜中に赤ちゃんに粉ミルクを上げる時などは特に大変ですよね。
しかし液体ミルクなら、常温のままボトルのキャップを外し乳首を付けて、そのまま赤ちゃんにあげることができるので非常に便利です。
旦那さんでも簡単に赤ちゃんにミルクを飲ませてあげることができます。
液体ミルクが活躍する場面
・夜中の授乳がラクラク
・外出時の授乳がカンタン ・男の人でも簡単に授乳が可能 ・無菌充填のため粉ミルクよりも安全 ・震災時に簡単に授乳が可能 |
このように液体ミルクは非常に便利なものとなっているのですね。
液体ミルクは震災で非常に便利
2011年の東日本大震災では、多くの赤ちゃんを抱えるお母さんが授乳に困っていました。
赤ちゃんに母乳を与えることのできるお母さんならいいのですが、母乳を与えることのできないお母さんもたくさんいます。
しかしながら、震災時に粉ミルクを作るというのは非常に困難な作業となります。
震災ではライフラインがストップしてしまう
ガスや電気がストップすると哺乳瓶を煮沸殺菌することも難しいですし、そもそも水道がストップすると水を調達することさえ難しくなってしまいます。
震災時に自宅にいても水道・ガス・電気のライフラインがストップしてしまうと粉ミルクを作ることが難しいのに、避難所に避難した場合は、なおさら粉ミルクを作れるような環境にないことは明らかです。
東日本大震災が発生した2011年以降に液体ミルクの日本での販売を望む声があったのですが、現実的には5年を経過した今でも液体ミルクは、通販で海外から購入するしか手に入れる方法は基本的にありません。
そして液体ミルクの日本での解禁が始まらないまま、東日本大震災から5年たった今年の4月に熊本大地震が発生しました。
今回の熊本大地震でも、粉ミルクを作ることができずに非常に苦労をしたお母さん方がたくさんいたようです。
液体ミルクの輸入はすぐにはできない
震災後しばらくすると液体ミルクを海外から輸入して配布してくれる支援団体もあるのですが、液体ミルクが最も必要な時期は震災が発生したのちの、ライフラインが使用できない数日間ですよね。
しかしすぐに液体ミルクを輸入しようとしても、最低でも1週間~10日程度は時間がかかってしまうのが現実です。
日本フィンランド友好議員連盟は、4月22日、フィンランドの乳児向け液体ミルクを緊急支援物資として熊本の被災地に送ると発表した。
常温保存が可能でそのまま飲ませることができる液体ミルク「トゥーティ」5,190個分をヴァリオ社が提供。フィンランド国内の輸送をニエミ社、ヘルシンキから成田空港への空輸をフィンエアー(フィンランド航空)、成田から熊本までを日本航空(JAL)がいずれも無償で輸送する。
そうなると、最も液体ミルクが必要な時期に使用することはできないということになってしまいます。タイムラグが生じてしまうのですね。
このようなタイムラグを生じさせないためには、日本で液体ミルクを通常時から販売しておく必要があります。
しかしながら現在日本では、液体ミルクの販売はされていません。
なぜ日本では液体ミルクが販売されないのでしょうか?
なぜ日本で液体ミルクが販売されないのか?
液体ミルクを購入したいと考えている方は、結構多いのではないでしょうか。
もちろん粉ミルクが主流であることは変わらないでしょうが、液体ミルクは手間がかからずにすぐに利用できるという便利さのメリットがあるため、一定の購買層は存在すると思います。
日本の粉ミルクメーカーは、液体ミルクを作る技術力は十分にあるようです。
それなのになぜ日本では、液体ミルクが販売されることがないままなのでしょうか。
粉ミルクはもうかる商品?
実は粉ミルクというのは、非常に利益率の高い商品となっています。儲かる商品ということですね。
現在日本では、「明治」「森永乳業」「雪印メグミルク」「ビーンスターク」「アイクレオ」「和光堂」の6社の寡占状態となっています。
もし日本で液体ミルクが発売されるなら、粉ミルク製造の実績・経験から、上記6社が製造・販売することになるでしょう。
しかしながら粉ミルクメーカーは、正直なところ「現在の寡占状態を崩したくない」というのが実際のところだと思われます。
液体ミルクが販売されることで、パワーバランスが崩れることを危惧しているのではないでしょうか。(あくまで私の考えです)
利益率の高い儲かる商品である粉ミルク市場を維持したいということですね。
液体ミルクを作る気はあるのか?
もちろんメーカー側はこんな裏事情を説明はしません。例えば森永乳業のウェブサイトには以下のように記載されています。
Q「液状の乳児用ミルクは作らないのですか?」
「海外にはそのまま使える液状のミルクがあるのに、国内で発売しないのはなぜですか?」A 現在の法律では液状の育児用ミルクは「乳幼児用のミルク」としての規格基準が設けられていないため製造・販売は出来ません。
一方で、調乳用の水が不要な液状ミルクは、簡便性、災害時対応での利点が認められることから、当社ではこれまでも研究を行ってきました。すぐに発売することは難しいですが、今後も検討を続けていきたいと考えています。引用元: お客さまからのご質問
ぜひとも粉ミルクメーカーには液体ミルクの製造・販売に取り組んでもらいたいものと思います。私の裏読みが見当外れであることを望みます。
メーカーさえその気になれば、液体ミルクの日本での製造・販売は可能だと思います。
実際に厚生労働省は、「内閣府の記載改革会議」で以下のように回答しています。
【厚生労働省】
日本の食品衛生法では、乳児を対象とした調製粉乳は乳等省令により規定されておりますが、乳児を対象とした液体状の調整乳(以下「乳児用液体ミルク」という。)については個別に規定されておりません。そのため、現時点においては、海外で流通する乳児用液体ミルクは、乳等省令中の乳飲料に分類されます。また、国内では製造等を禁止はしておりません。乳児用の液体ミルクについては、平成21年4月、事業者より厚生労働省に乳等省令中に規格基準を設けるよう要請があり、同事業者等と連携して検討を進めているところです。
平成21年4月及び平成21年8月、薬事・食品衛生審議会乳肉水産食品部会において審議を踏まえて、同事業者に対して開封後の微生物増殖や季節の変化に伴う食中毒の危険性の検証のための微生物のデータや保存試験等のデータの提供を依頼しております。
厚生労働省では事業者等から必要な資料の提出を踏まえ、引き続き、安全な乳児用液体ミルクの規格基準策定の検討を進めてまいります。
これを見ても、やはり日本の粉ミルクメーカーが本気を出して資料をそろえれば、十分に製造・販売が可能と考えられます。(平成21年にデータの提供をして、平成28年現在で進展がないということは本気を出していないのでしょうが・・・)
海外では普通にスーパーで液体ミルクが販売されているので、日本で製造・販売できないわけがありませんからね。
日本の粉ミルクメーカーには、震災時のお母さん方のために本気・やる気を見せて頑張ってもらいたいものです。