今朝いつものようにスマホでネットニュースを見ていたら、「ランドセル、家計に重荷 無料で配布の自治体も」といった西日本新聞の記事を目にしました。

間もなく入学シーズン。真新しいランドセルを背負った小さな子どもたちの姿を思い浮かべるが、最近は素材や機能にこだわった高額のランドセルが人気という。ただ、すっかり定着しているこの通学スタイルも義務ではない。近年はランドセルの入手が生活困窮家庭の重荷になっていることもあり、無料配布や見直す動きも広がっている。

薄紫、ピンク、花の刺しゅう入り…。福岡県のあるかばん店では年間を通して多彩なランドセルを陳列、販売している。最も安いもので4万円、最高値は12万円。売れ筋は5万~6万円の商品という。別の店で6万円のランドセルを買った福岡県の母親は「6万円でも安い方だと思った」と“相場観”を口にした。

ランドセルといえば小学校に入学するときの必需品となっていますが、この記事は突っ込みどころが満載ですよね。

ランドセル価格の現実

確かに最近は、おじいちゃん・おばあちゃんが孫のためにランドセルを買ってあげるという風習が一般的になってきているようですので、ランドセルの平均価格が上昇してきているというのはわかります。

しかしながら「6万円でも安いほうだと思った」というのは、その相場観が完全にやられてしまっています。

楽天でランドセル価格を調査

以前に私はランドセル価格を調査したことがあったので、6万円で安いというのは変だとすぐに感じました。

そこで楽天市場でランドセルの価格を調べてみたのですが、30秒もしないでいろいろとわかりました。

まず分かったのは、楽天市場の検索システムはう○こ過ぎて相変わらず使えないということです。なぜにランドセルで検索して美少女アニメのカードがヒットするのか?

楽天市場の成長がストップしたという記事を先日読みましたが、どんどん使いにくくなってる状況を見るとわかるような気もします。

話をランドセルに戻すと、やっぱり1万円以下のランドセルが結構たくさん販売されていました。

もう3月25日なので、ほとんどの新1年生を持つ家庭ではランドセルをすでに購入して、始業式に備えていることと思いますが、切羽詰まったこの時期でもまだ売り切れていないということは、年間を通して問題なく1万円以下のランドセルを購入できるということでしょう。

まあ1万円のランドセルはかなり安い価格帯ですが、2万円程度のランドセルはそれこそたくさんありますし、ブランドランドセルの型落ち商品でも1万円台で購入できるようです。

そもそもこの記事なんかおかしい

この西日本新聞の記事が本当ならば、記事中の福岡県のあるかばん店の最も安い価格「4万円」というのが、ただのぼったくり価格ではないのかと思えるほどです。それとも福岡県は物価が高いのでしょうか?

また記事中で、「1970年と比較してランドセル価格が40年で7倍になった」と、「ランドセル価格はすごーく高くなったよ」と言いたいがための都合のいいデータを紹介していますが、1990年前半は3万5千円、2014年は4万2千円なので、24年間で7千円とそれほど上昇しているというわけでもないですよね。

そもそも1970年といったオイルショック前、まだ金本位制が続いている時代と比較してどうするの?という感じです。

さらに「茨城県日立市は、約40年前からランドセルを新入生全員に無料で配布。本年度も今春入学する約1380人のため約1千万円を予算計上した。」記事中にあります。

えーと計算すると、一人あたり「7246円」でランドセルを購入しているということになりますよね。

茨城県日立市は、一人頭「7246円」でランドセルを調達しているのに、ランドセルの平均価格が4万2千円ですか。ちょっとぼったくりすぎじゃないのかな。

安いランドセルは恥ずかしい?

よく安いランドセルは恥ずかしいという意見を聞くことがあります。

もちろん価値観というものは人それぞれなのですが、「ランドセルなんかどうでもよくない?」というのが私の正直な気持ちです。

まあ型落ちのブランドのランドセルも安値で売られているので、価値観的にブランドランドセルをどうしても安く買いたいと考える方は、数年前の型落ちブランドランドセルを購入すればいいのではないでしょうか。

ランドセルなんて3年たっても何が変わるものではないですからね。ほとんど一緒です。(まあブランドメーカーは、新しいランドセルを購入させるために毎年いろいろデザインなどを変えてきますけどね。)

西日本新聞はこの記事を通じて、日本では貧困家庭が増えてきているということを一番に伝えたかったのではないかと私は予想していますが、そんな記事を書くのなら、「ランドセルなんて安くてもいい。小学校で何を学ぶかが一番大事だ」と書いてくれればいいですけどね。

この記事を見ると、高いランドセルを買うことが当たり前のように思ってしまう方もいるのではないかと思います。

ネットショッピングの功罪はいろいろとあると思いますが、世間一般での物の平均価格を調べるには非常に役立つものだと思います。

デジタルデバイドという言葉はもはや死語かもしれませんが、新聞だけを読んでいると本当のことは見えてきませんよね。(もちろんネットだけを見ていても本当のことは見えてこないと思います。)

調べようと思えば誰でもたいていのことは調べられる時代になったので、今後は調べる人と調べない人との差が出てくるということなのかもしれませんね。

ランドセルが売れる時期

ところで、ランドセルが売れる時期ってご存知でしたか?

入学前の3月が売れる時期のような気がしますが、実は8月がランドセルの一番売れる時期になります。

なぜかというと、おじいちゃんやおばあちゃんが孫のためにランドセルを購入するからです。

おじいちゃんたちが孫に会うのは夏休み(お盆)ですよね。

その時にプレゼントするための購入が増えるからだそうです。

某ランドセルメーカーが、8月前にCMを流したところこれが大ヒットして、売り上げがものすごい伸びたそうです。

その流れでどのメーカーも今は7月・8月にランドセルのCMをバンバン流し、おじいちゃんおばあちゃんの購入をあおるというわけですね。

おじいちゃん世代はお金を持っていますからね。祖利益の高い高級ランドセルが売れるのでメーカーも笑いが止まらないというわけです。

まあおじいちゃん世代には、どんどんお金を使ってもらって消費を底上げしてもらわなければならないので、たくさん高級品を購入してもらえればいいと思います。

その代わり子育て世代の方は、ランドセルよりも大事な子供の教育にお金を使えばいいのではないでしょうか。

「名を捨てて実を取る」ということですね。