名古屋市議会が議員報酬を上げるそうです。

その額は800万円⇒1454万円だそうです。いやーすごいですね。名古屋だけはものすごく景気がいいのでしょうか。(政務活動費月50万円は別途あります)

一昨年、兵庫県の野々村県会議員のカラ出張による不正受給が話題になりましたが、そもそも地方議員って本当に必要なんだろうかと思えてきました。

自分たちの給料を自分たちで決めることができるお手盛りシステムも、もはや限界にきているような気もします。

市会議員や県会議員の給料について正直あまり興味がなかったのですが、今回ちょっと気になったので簡単に調べてみました。

名古屋市議の現状

名古屋市議会は、2011年に河村市長が公約していた通り、議員報酬を1633万円から約半額の800万円としました。

この2011年3月13日に行われた名古屋市議会議員選挙で、河村市長率いる減税日本が最大会派になる大勝利をおさめ、その後の名古屋市議会において、全会一致で可決されました。

「名古屋市議会の議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例の一部改正について」(減税日本提案)

平成23年5月1日からの議員報酬を恒久的に月額50万円、6月と12月の期末手当をそれぞれ100万円とする。
ただし、解散前に在職した議員の期末手当は23年6月に限り、208万円余とする。

この時の議席数が

減税日本 28
自由民主党 19
公明党 12
民主党 11
日本共産党 5

となっており、減税日本がかなり力を持っていたことがわかります。

で、現在の議席数は、

減税日本 28 ⇒12
自由民主党 19⇒22
公明党 12 ⇒12
民主党 11 ⇒16
日本共産党 5 ⇒12
名古屋維新の会 0 ⇒1

となっています。

今回の議員報酬アップは、自民党・公明党・民主党が提案して強行採決も辞さないということですが、減税日本の力が弱くなったところを狙ったというものなのでしょうね。

前回2011年も自民党・公明党・民主党で過半数はあったわけで、自分たち(全会一致)で議員報酬の減額を決めたのですから続ければいいと思うのですがどうなのでしょう。

年収800万円は少ないのか?

名古屋市議会議員の議員報酬の年間800万円というのは少ないのでしょうか?

日本の主要都市の市議会議員の報酬を見てみましょう。

横浜市 1629万円
神戸市 1567万円
京都市 1468万円
大阪市 1345万円

まあこれを見てみると、確かに名古屋の800万円というのは他の都市に比べると安く感じますよね。

ただこれは感覚がマヒしているんじゃないの?

年収ラボで愛知県の平均年収(平成25年)を調べてみました。

平均年収:518万円(男性:572万円、女性:364万円)

そうですよね。こんなもんですよね。普通のサラリーマン家庭はこれくらいで家計をやりくりしているのです。

アベノミクスも正直なところそれほどうまくいってると思えず、日本全体がちょっと閉塞感の中にありますからね。そんな中での報酬アップは空気が読めないなーという感じです。

もちろんこれは名古屋市民が決めることなので、他市に住んでいる私が口を出すことではないのかもしれませんが、自分の市でこんなことが起こるとかなりイライラしますよね。

名古屋市議会は今後どのような展開となるのか?

自民党・民主党・公明党が市議会の3分の2以上を占めており、強行採決をするということなので可決することが濃厚です。

可決すると普通に考えればそのまま給料アップとなりますよね。

ただこれはそう簡単にいかないと思います。

まず河村たかし市長は、市長の権限である再議の権利を行使することをすでに明言しているようです。

ただ3分の2を占めている賛成派ですから、再可決することができてしまいます。

自民党・民主党・公明党も相当の反発があることが覚悟のうえでこの議題を出しているでしょうから、再可決をするのではないでしょうか。

そうなると、またまた河村市長は手を打つでしょうね。

河村市長の打つ手は、「市議会の解散請求(リコール)」と「条例案の廃案を求める直接請求」のための署名活動となりそうです。

ただこれはこれでなかなかハードルが高いですよね。

市議会のリコールは、2011年はギリギリ認められましたが、今回署名が集まるかどうかは微妙というか難しいような気がします。

市長は議会の解散権が基本的にない

総理大臣のように国会(衆議院)の解散権が河村市長にもあればいいのですが、地方公共団体の長は、自身の不信任案が可決されたときの対抗としての解散権しか認められていません。(地方自治法178条)

これは地方公共団体の長、地方公共団体の議会ともに住民により直接選挙で選ばれているため、ともに辞職させる権利があるのは住民ということなのですね。

ですので河村市長が直接名古屋市議会を解散することはできません。

市議会のリコールの要件

市議会のリコールをするためには、有権者の3分の1の署名を集めなければなりません。

正直これは相当ハードルが高いです。

2011年はすったもんだの末にリコールが認められましたが、今回名古屋ではこの件がどのぐらい報道され、どれくらい市民に怒りがたまっているのでしょうか。

いろいろな噂によると減税日本の市会議員の質に問題があったため、現在あまり支持を集められていないようです。

そうなると大きな波を起こすのは難しい気がします。

条例案の廃案を求める直接請求

河村市長はもう一つの方法として、「条例案の廃止を求める直接請求」をしたいと考えているようですが、これは有権者の50分の1の署名で可能なので、署名を集めること自体はできるでしょう。

ただ署名が集まったからと言ってできることは、20日以内に議会を招集して結果を報告することだけです。

正直なところ議会がそれを無視してしまえば何も起こりません。結局のところ決定するのはまた同じ議会ですからね。

そうなるとこの方法も効果があるとは言えないでしょう。

結局は名古屋市民がどう考えるか

このように、結局は名古屋市民がどのようにこの問題を考えるか次第ですよね。

自民党・民主党・公明党の議員が批判の矢面に立てば、そのプレッシャーで議案をなかったことにするかもしれません。

次の選挙で落ちてしまえばそれまでですからね。

正直どのような展開になるのか名古屋の状況がわからないので予想しにくいですが、興味深く今回の問題を見守っていきたいと思います。

それにしても民主党は、自公と組んで何をしているんでしょうね。国と地方は別かもしれないですが、民主党の考えていることはよくわかりません。

そもそも何も考えていないのかな?