熊本地震の影響で、避難生活を余儀なくされている方がたくさんおられます。

多くの場合、学校の体育館・公民館などが避難場所に指定されていますが、これらの避難所での生活はプライバシーの確保が難しくなってしまうのも事実です。

ですので避難所での生活を断念し、自分の車で生活する方も実際にたくさんいます。車中泊というものですね。

私自身もペットの犬がいるのですが、もし避難生活を送らなければならなくなった場合は、他の人に迷惑をかけそうなので車中泊を選択するかもしれません。

賢いワンコならいいのですが、我が家のワンコは・・・です。

しかしながら車中泊にはエコノミークラス症候群という命にかかわるリスクが存在しています。

車中泊のエコノミークラス症候群のリスクについて考えていきたいと思います。

エコノミークラス症候群のリスク

エコノミークラス症候群は、飛行機のエコノミークラスのような狭い場所で長時間同じ体勢をとり続けることによって引き起こされる症状です。

簡単に説明すると、車でずっと座っているなど長時間同じ体勢をし続けるとふくらはぎなど下肢に血液が滞留してしまい血栓ができてしまいます。

その血栓が血液の流れに乗って全身を移動してそれが肺動脈に詰まってしまうと、「肺血栓塞栓症」を起こす恐れがあるのですね。

地震の際に車中泊をする場合は、このエコノミークラス症候群について十分に注意する必要があります。

車中泊でエコノミークラス症候群を予防する方法

水分を補給する

エコノミークラス症候群を予防するためには、水分を十分に補給する必要があります。

水分の補給が足りていないと、血液がドロドロとなり血栓ができやすい状況となってしまいます。

しかしながら地震の際は水道が使用できないことが多いので、必然的に水分不足となってしまうことがよくあります。

そのような血液がどろどろの状態で車中泊をすると、通常のケースよりも血栓ができやすくなってしまうのですね。

仕方のないことなのですが、地震の際に車中泊をすると通常の車中泊よりもエコノミークラス症候群になる可能性が高くなってしまうということです。

難しいことですが、できうる限り水分補給をすることを心がけましょう。

足を伸ばす

多くの場合ふくらはぎ・太もも・ひざなどの静脈に血栓ができることでエコノミークラス症候群は引き起こされます。

ですので足を伸ばしたり、定期的に車から降りて軽い体操やストレッチをすることはエコノミークラス症候群の予防として有効です。

できれば1時間~2時間に1回ぐらいの割合で、足を伸ばすストレッチを5分程度したほうがいいと思われます。

車中泊ではなかなか難しいこととは思いますが、足を伸ばして寝ることができればそのほうがいいことは言うまでもありません。

最近は座席がフラットになるタイプの車もありますが、多くはシートをリクライニングできるだけですよね。そう考えると足を伸ばして寝るということは現実的には難しいかもしれません。

足を心臓よりも高くしておくと血栓ができにくいので、足を高くする体勢をとるという方法もいいようです。できる限り工夫をして血栓を作らないようにしたいですね。

その他の予防方法はないのでしょうか。

弾性ストッキングを利用する

病院では手術後の患者に、下肢静脈瘤の予防と進行防止のために弾性ストッキングを利用してもらうことがあります。

弾性ストッキングとは、足首からふくらはぎ(ひざ上までのタイプもあり)にかけてを圧迫することで血流を促進する働きのあるストッキングのことです。

この弾性ストッキングは、エコノミークラス症候群の予防や進行防止にも有効であると考えられています。

弾性ストッキングは、足のむくみをとる目的の美容用や下肢静脈瘤を予防する医療用まで様々なタイプがありますが、エコノミークラス症候群を予防するなら医療用弾性ストッキングのほうが好ましいでしょうね。

もし将来において災害の際に車中泊をするつもりなら、非常持ち出し袋の中に弾性ストッキングを用意しておいたほうがいいのかもしれないですね。

さすがに避難所で弾性ストッキングを配布してくれるとは思えないです。

弾性ストッキングを利用するなら、自分自身で用意しておく必要があるといえるでしょう。

特に筋力が弱い女性の方や高齢者の方は、エコノミークラス症候群になりやすいと考えられています。

弾性ストッキングは足のむくみの予防にも効果があります。普段から利用しておくと、もしもの時に役に立ちそうです。

貧乏ゆすりをする

貧乏ゆすりは、その名の通りあまりイメージがいいとは言えません。

しかしながら、実はエコノミークラス症候群の予防に非常に効果的な動作なのです。

貧乏ゆすりをすると下半身の血流が活性化され、血栓ができてしまうのを防止する効果があるのです。

これは簡単でいいですよね。

就寝中に貧乏ゆすりをすることは難しいですが、車中泊をするときには貧乏ゆすりをする癖をつけておくとよさそうですね。

厚生労働省の予防方法

厚生労働省もエコノミークラス症候群の予防方法を提示しています。

・長時間同じ(特に車中等での窮屈な)姿勢でいないようにしましょう。

・足の運動をしましょう。

(例)
足や足の指をこまめに動かす。
1時間に1度は、かかとの上下運動(20―30回程度)をする。
歩く(3-5分程度)。

・適度な水分を取りましょう。

・時々深呼吸をしましょう。

また、(1)高齢者、(2)下肢静脈瘤、(3)下肢の手術、(4)骨折等のけが、(5)悪性腫瘍(がん)、(6)過去に深部静脈血栓症、心筋梗塞、脳梗塞等を起こした事がある、(7)肥満、(8)経口避妊薬(ピル)を使用、(9)妊娠中または出産直後、(10)生活習慣病(糖尿病、高血圧、高脂血症等)がある等の方は特に注意が必要です。

エコノミークラス症候群は予防することが可能な症状なので、車中泊をする際はいろいろな方法で血栓ができるのを防ぎたいですね。