今回の熊本地震は、阿蘇山の周辺で発生しました。
専門家によると地震の影響かどうかはわからないようですが、阿蘇山でも小規模な噴火がありました。
正直なところ地震の影響と考えたほうが自然ですよね。あれだけ周辺の活断層が動いていることを考えると、やはり影響があると思います。
実際に阿蘇山のカルデラにある活断層も一連の熊本地震では動いていたということのようです。
それでは今後、阿蘇山がさらなる大きな噴火をするということはないのでしょうか。
阿蘇山噴火の歴史
阿蘇山はかつて何度も噴火をしています。小規模な噴火はそれほど珍しくありません。小規模噴火なら特に九州地域の方の生活に影響するということもないでしょう。
しかしながらカルデラ噴火と呼ばれる大噴火が発生すると、九州だけにとどまらず日本全体が壊滅的な被害を受けてしまうようです。
このカルデラ噴火とはどのようなものなのでしょうか。
カルデラ噴火とは
カルデラ噴火は、「破局噴火」「カルデラ破局噴火」とも呼ばれています。文字を見るだけで怖くなりますよね。
カルデラとは、火山の噴火によってできた凹んだ土地のことで、阿蘇山はカルデラとしても有名です。
実は阿蘇山周辺の地域は、かつて阿蘇山が大噴火をしてマグマなどの火山噴出物が噴出して凹んだ場所にあるのですね。
簡単に言うとカルデラの上に市街地があるということです。
カルデラの上に市街地があるということは、かつて阿蘇山がカルデラ噴火を起こしたということにもなりますね。
もちろん有史以前の出来事なので文字による記録は残っていませんが、地層を調べると大噴火の痕跡を見つけることができます。
それでは阿蘇山ではいつごろカルデラ噴火を起こしたのでしょうか。
阿蘇山のカルデラ噴火
阿蘇山では、約27万年前から9万年前までに大規模な噴火が4回ありました。これらは27年前におこった「Aso1」~9万年前に起こった「Aso4」に分類されています。
特に9万年前の「ASO4」は、九州中央部を火砕流が襲い、北海道まで火山灰が到達したほどの大噴火だったようです。
この規模のカルデラ噴火が現代に発生してしまうと、九州だけでなく日本全体が大ダメージを受けるでしょう。壊滅的な状況になってしまうでしょうね。
ただこのようなカルデラ破局噴火は、そう何度も起こるものではありません。
今回の熊本地震がすぐに阿蘇山のカルデラ噴火につながっていくというのは、さすがに考えすぎでしょう。(一般的な噴火が今後も起こる可能性はあるのかもしれません)
しかし安心しすぎるわけにもいかないようです。
日本で発生したカルデラ噴火
日本ではマグマを数10立方km噴出するカルデラ噴火は、過去12万年間で18回発生しているようです。
わが国では、100立方km以上のマグマを放出するカルデラ噴火は、1万年に1回程度発生しています。数10立方km以上の噴火ならば12万年間に18回、つまり6千年に1回程度は「起こっている」ことになります。もちろん、これは平均発生頻度で、前のカルデラ噴火から2,000年のうちに起こったものもあれば、1万数千年以上の後に起こったものもあり、このような規模の噴火で、最後に起こったものが先の鬼界カルデラ噴火なのです。
ところが、これまで平均6,000年間隔で起こっていたカルデラ噴火が、最近7,300年間は発生していません。カルデラ噴火はもはや、いつ起こっても不思議がない現象なのです。
上記にもあるように、日本では平均すると6000年に1回の割合でカルデラ噴火が発生しています。
そして前回発生したカルデラ噴火から7000年以上経過しているので、確率的にはいつカルデラ噴火が発生してもおかしくはないと考えられるのですね。
だからといってカルデラ噴火が今すぐ発生するかというとそこまで深刻に考える必要はないと思います。
これはあくまで平均値ですからね。
ただこのようなカルデラ噴火は、人間の力ではどうすることもできません。
もちろん現在は火山の観測体制も整備されてきていますが、データに異常があったからといって、通常の噴火が起こるのかカルデラ噴火が起こるのかを事前に予測することはほぼ不可能でしょう。
文明を壊滅させてしまうような破局噴火に対して人間は無力ということですね。
カルデラ噴火の可能性は九州だけではない
カルデラといえば阿蘇山が有名ですが、過去に日本で発生したカルデラ噴火は阿蘇山だけではありません。
北海道・東北・関東・甲信越・山陰にいたるまで、日本各地にカルデラ噴火を起こした火山があります。
箱根山もかつて大噴火を起こした火山として有名ですね。
箱根といえば温泉が有名だが、箱根山は過去23万万年の間に11回の巨大噴火を起こしてきた、日本有数の活火山なのだ。
こうした火山の大規模な噴火活動、いわゆる「巨大噴火」や「破局噴火」は、何も箱根山に限った話ではない。むしろ、日本のカルデラで起きた過去の巨大噴火と比べると、6万年前の箱根山噴火は規模、被害範囲とも小さいものだと高橋氏は言う。
引用元: これが火山国日本の生きる道
このように、九州だけでなく日本全国にカルデラ噴火を起こす可能性がある火山はたくさん存在するのです。
ただ先ほどもお話ししたように、だからといって心配する必要はそれほどないと思います。
というよりも、心配しても仕方がないです。
カルデラ噴火が発生してしまうと、もはや人間の力ではどうすることもできません。自然に任せるしかないということです。
現在は地震の活動期にある
完全に杞憂とはいいきれませんが、カルデラ噴火を心配するよりは、やはりより現実的な「地震」について心配をしたほうがいいと思われます。
現在は慶長年間のように地震の活動期にあると思われます。
「熊本地震は南海地震の引き金となるのか?」でもお話ししたように、慶長年間には現在と類似性が考えられる地震が多く発生しています。
今回の熊本地震のような活断層による地震だけでなく、南海・東南海・東海地震のようなプレート型の地震が発生する可能性もあります。
タンスなどを固定したり、非常食や備蓄水を準備しておくなど自分自身で出来る地震の備えもあります。
できる限りのことをしておいて、地震の被害を最低限にとどめる努力をしておきたいものですね。