支持政党なし」という政党があるのをご存知ですか。

「なにソレ」という方がほとんどなのではないでしょうか。(東京選挙区のポスターのインパクトで知った方も多いかもしれません)

実はこの政党「支持政党なし」が、今回行われた参議院議員選挙で60万票も獲得してしまったのです。

巷では、便乗、冒涜、詐欺、欺瞞など、様々な言葉が聞かれます。

 10日に投開票された参院選比例代表で、政治団体「支持政党なし」の得票が64万票を超えた。無党派の有権者が「どの政党にも入れない」つもりで投票してしまう可能性を、団体側も認識していたという。公職選挙法には抵触しないが、専門家は「制度の盲点を突いた行為で選挙の冒とくだ」と批判している。

支持なしでも1票になってしまう

無党派層という言葉はよく聞きますよね。

無党派層とは既存のどの政党も支持していない層のことなのですが、現状の政治に不満を持っている方は、選挙にはいくけれど白票を投じる、もしくは「支持政党なし・支持なし」と記載して投票する方が結構多いのです。

そうなんです。これらの方が比例代表で「支持政党なし」「支持なし」として投じた1票が、この政党「支持政党なし」の票になってしまったのです。

政党「支持政党なし」党首の佐野秀光さんが集めた票数が31,334票、もう一人の立候補者である本藤昭子さんが集めた票数が18,035票となっています。

で、今回の参院選で政党「支持政党なし」が集めた票が、647,071票(得票率1.2%)となっているので、ここから推測するとおよそ60万票が有権者の意思とは違った形で票になっていたのではないかと思われます。

もちろん個人名でないすべての票が誤認・間違いではないのかもしれないですが、ほとんどが誤認・間違い票ではないでしょうか。

まあ党首の佐野秀光さん自身はそうは思ってないようですけどね。

代表の佐野秀光氏は11日未明に東京都大田区の事務所で会見し、「支持政党がないという人の心の声が届けられた」と手応えを語った。一方で政治団体名とは思わないで投票する「間違い」票については「今回の参院選ではほぼない」と否定。支持政党がない人の思いのぶつけ先をつくれば投票率が上がるのではないかと語った。

支持政党なしの前は安楽死党

この政党「支持政党なし」は、前回の第47回衆議院議員総選挙でも話題となりました。

前回の第47回衆院選では、比例北海道ブロックから今回と同じく代表の佐野秀光氏と佐野氏の義母である本藤昭子氏が出馬したのですが、このときは北海道ブロックだけで104,854票も獲得しました。

佐野秀光氏は2009年の第45回衆議院議員総選挙に「新党本質」で出馬したことがあるのですが、そのときの得票数は7,399票となっています。

これを見比べると、いかに誤認・間違い票が多かったのかがよくわかりますね。

ちなみに第46回衆議院議員総選挙で東京4区から「安楽死党」で立候補して落選もしています。

「新党本質」⇒「安楽死党」⇒「支持政党なし」という変遷をしているのですね。

あえて党のスローガンは置いておくとして、「支持政党なしという政党を作ったら選挙通るんじゃね!」とどこかでひらめいてしまったのでしょうか。

今まで誰もしてこなかった選挙システムの隙間をついてきたと思われます。

そもそも佐野秀光氏とはどのような方なのでしょうか。

佐野秀光氏とは

1989年、日本大学在学中に同附属高校生向け家庭教師派遣会社「日統一ゼミナール」を設立。1991年3月、自身を代表取締役とする株式会社情報通信ネットワークを設立。2008年8月、自身のダイエット体験に基づく著書を発表

株式会社情報通信ネットワークは、登記簿情報をオンラインで提供する会社のようですね。儲かっているのでしょうか。

いわゆる隙間ビジネスのようですが、利益がどれくらい出ているのかはわかりません。

ウィキペディアによると法務省のオンラインサービスは、JTNを経由した利用が三分の一を占めているそうなので、それなりの利益が出ているのかもしれませんね。

野々村竜太郎元兵庫県議を思い出す

私は今回の政党「支持政党なし」を見た時、元兵庫県議会議員で号泣会見で有名になった野々村竜太郎氏を思い出しました。

彼は橋下弁護士の「大阪維新の会」ブームに便乗して、「西宮維新の会」の一員として兵庫県議会議員選挙に出て当選したんですよね。

しかしこれは「西宮維新の会」が「大阪維新の会」とは全く関係がないのに、多くの有権者が関係があると誤解・間違って投票したことで当選したことが明らかです。

その結果として、政務活動費の問題から号泣会見となったのですね。

政党「支持政党なし」の佐野秀光氏がどのような方かは全く知りませんが、同じ匂いを感じるのは私だけでしょうか。

崇高な理念があるなら、堂々と国政選挙に挑めばいいのにと思ってしまいます。

多くのところで政党「支持政党なし」の批判がされていますが、次の選挙も同じことが起こってしまうのでしょうか。

憲法は結社の自由を保障しているので、政党「支持政党なし」を排除する方法はないようです。

こうなれば毒を以て毒を制すということで、奇特な第三者に政党「支持なし」党を作ってもらって国政選挙に出てもらうしかないのでしょうか。

そうすれば「支持なし」「なし」「支持」と書かれた投票は政党「支持政党なし」には流れなくて済みますよね。

誤認した票が分散することで、政党「支持政党なし」の候補者が便乗当選する可能性も低くなると思います。

これはこれでまた批判があるかもしれませんが、世間に警鐘を鳴らすという意味ではいいのかもしれません。うーん、ダメかな?