最近はウォーターサーバーを自宅で使っているか家庭が増えてきているようですね。
30年前までは、水を購入して飲むということは全く考えられなかったことですが、今ではミネラルウォーターを購入して飲むことが当たり前の時代となってきています。
水道水を直接飲んでいる方は、本当に少なくなってきていますよね。
そんな昨今の水事情ですが、昨日放送されたABCテレビ「雨上がりのAさんの話」では、「水」についての裏事情が話されていました。
結論としては、「あなたはダマされているかも!水の裏事情を知れば夜9時に蛇口をひねりたくなる!」というものでした。
さてどのような内容だったのでしょうか。
水道水の安全神話が崩壊?
水ジャーナリスト国連テクニカルアドバイザーの吉村和就さんによると、なぜ日本で水道水が飲まれなくなってきたのかというとそのきっかけは、アメリカ環境防衛基金水質部長のハリス博士が1974年に出したレポートだそうです。
ハリス博士の報告とは
ハリス博士はその報告で、「塩素処理をした水道水を飲んでいる区域では、地下水を飲んでいる地域に比べ、がんによる死亡者が10万人につき33人多い」という水道水とがんの関係を明らかにしたのですね。
10万人に33人というのは多いのか少ないのか微妙な数字ですが、気になる数字ではありますよね。
このハリス博士の報告を受けてアメリカ環境保護庁の調査が行われたのですが、その結果「浄水場で水道水を塩素消毒する際に、発がん性物質であるトリハロメタンが発生していることが判明」しました。
もちろんこれはアメリカだけの話ではなく、日本を含む世界中で同じことが起こっているということになります。
その結果として水道水安全神話が崩壊してしまい、水道水の信頼性が低くなってしまったのですね。
日本でも浄水器ブームが
その後どうなっていったのかというと、日本では1980年代に「浄水器ブーム」が起こることとなりました。
しかしながら浄水器は詐欺の温床となっています。最近でもニュースで浄水器の詐欺について耳にすることがあります。
それでは浄水器の詐欺は、実際どのように行われているのでしょうか。
浄水器詐欺に注意しましょう
人々の水道水への不安をあおっておいて、高い浄水器を売りつける業者が現在も後を絶たないのです。
浄水器詐欺の手口
2015年11月25日に消費者庁の発表によると、「水がきれいになる」など虚偽の説明をして、浄水器関連製品を販売した訪問販売会社に対し、一部の業務停止を命じたというものがありました。
この浄水器訪問販売会社の売上総額は、1億3700万円だったそうです。
それでは浄水器詐欺の手口はどのような方法となっているのでしょうか。
番組では元浄水器の訪問販売員の裏事情を知るAさんに話を聞いていました。
まずはアンケートを入り口に
このAさんによると、1件1件家を訪問してアンケートに協力してもらうことをまずきっかけとするようです。
その後、「お試しで浄水器を使用して近所の方に宣伝してもらえませんか?」と持ち掛けるのですね。
まずアポインターであるAさんがアンケートを協力してもらい、その後クローザーと呼ばれる浄水器を売りつけるプロの詐欺師が浄水器を売りつけに来るのです。
次にプロの詐欺師クローザーが購入させる
このクローザーは、コップの水道水に塩素に反応する薬品を入れます。
すると水道水には塩素が含まれているので当然反応して色が変わります。
しかしながらクローザーは、あたかもこれがとても悪いことのように「こんなに残留塩素が入っています。こんな汚い水で野菜を洗っていると思ったらどうですか?」などと不安をあおってくるのですね。
こんな風に聞かれてしまうと、ほとんどの人は「ちょっと気持ち悪いですよね」という答え方をするようです。
ここがポイントで、あくまで相手に自発的に気持ち悪いという感情を引き出させるのですね。キーワードを相手に言わせるということが重要になってきます。
塩素が入っているのは当たり前なのですが、相手に「気持ち悪い」と言わせることで、どんどん冷静さを失わせるのですね。
ここからが浄水器詐欺の最終段階へと入っていきます。
まずはレンタルで使ってみませんかという話を持ち掛けます。
「レンタルなら月々3000円なんですよ」というようにハードルの低いレンタルで話を進めていくのですね。
その後、「じゃあこの先に水道水に塩素が含まれない時代が来ると思いますか?」と問いかけます。
すると相手は「こないですよね。」と答えます。
そこでクローザーは、「今後10年浄水器をレンタルすると36万円もかかるんですよ」と問いかけます。
すると相手は「結構高いですね」と答えます。
「結構高いですね」と答えさせるのはクローザーの作戦通りなのですね。
その後「これ買うと26万円なんですけど買ったらどうですか?」と問いかけます。
高額なレンタル費を提示して、買ったほうが安いと思わせるということがクローザーの手口なのですね。
このような浄水器詐欺は、すべての主導権が相手側にあるので、最後に残された相手の選択肢は「買う」ということしかなくなってしまうのです。
これが浄水器詐欺のカラクリになります。
これは浄水器詐欺だけに限らず、エステ詐欺、子供の教材詐欺などでも同様の手口が取られることが多いです。
まずは心理的負担の少ないアンケートから始め、その後相手に主導権を持たせるような質問で誘導し、最終的に商品を高額で購入させるという手順です。
皆さんはこのような詐欺に騙されないようにしてくださいね。
話を水に戻しますが、浄水器と同じくミネラルウォーターもどんどんと普及してきました。
現在のミネラルウォーター事情はどのようになっているでしょうか。
ミネラルウォーターが普及
現在日本のミネラルウォーターの市場規模は、2600億円となっています。約30年前は水を買うということはほとんどなかったことなので、市場規模が0円から2600億円に30年間で成長したということになりますね。
最近は高級水が人気
また最近は美容健康に良い高級水が人気となっています。
「水素水」「マイナスイオン水」「ナノクラスター水」「ゲルマニウム水」「活性水素水」「波動水」「バナジウム水」「アルカリイオン水」「トルマリン水」「酸素水」「電解水」「還元水」「炭酸水」などいろいろな高級水があります。
このような高級水ブームについて物申したいという、ニセ科学ハンター・大阪大学理学部物理学科教授兼サイバーメディアセンター教授の菊池誠さんによると、「水の科学っぽい説明に騙されるな」ということのようですね。
これは普通の人たちを科学っぽい言葉で煙に巻く「ニセ科学」に気を付けろということです。
例えば水の広告では、「ダイエットしたい」「いつまでも綺麗でいたい」「不規則な生活が続いている」「美しいを目指す女性たちへ」「高濃度になりました」「業界最小!浸透力が違う」「人気NO.1」などの科学っぽい言葉に騙されるなということですね。
何となく体にいいと思えますが、本当にどんな効果や効能があるのかは書いていません。というより効果を書くことは法律によりできないのです。
この辺りをきっちり理解しておく必要がありそうですね。
まあイメージに踊らされすぎてはいけないということでしょう。
それではいったい何を飲めばいいのでしょうか?
水道水は危険?
週刊「水」ニュースレポート編集長の橋本敦司さんによると、「水道水は危険」というイメージは間違っているということのようです。
日本の水道水の水質基準は、ミネラルウォーターよりも検査項目や検査基準でより厳格になっています。これはミネラルウォーターは嗜好品という扱いだからなのですね。
しかしそうはいってもやっぱり水道水はおいしくないですよね。それはなぜなのでしょうか。
水道水がおいしくないわけ
水道水がおいしくないのは、配管やマンションの貯水槽が汚れているせいで、蛇口から出てくるときにはおいしくなくなっているからだそうです。
朝一番の水などは、前日から貯水槽に貯まっていた水なのでおいしくないのですね。
そこで番組では、マンションなどで多くの人が水をよく使う夜9時の水をペットボトルに入れておき、人間がおいしいと感じる15度ぐらいに冷やしておくとおいしく感じることができると話していました。
冒頭でお知らせした「水の裏事情を知れば夜9時に蛇口をひねりたくなる」ということですね。
うーん、結論としてはちょっと納得いかないところがありますよね。
このような説明をされてもやっぱり貯水槽に貯まった水道水を飲むのは抵抗がありますし、残留塩素やトリハロメタンがどのように健康に影響があるのかは番組では取り上げられていません。
さらに水道水には、鉛管から溶け出す「鉛」や、石綿管から溶け出す「アスベスト」などの心配もあります。
この辺りもきっちり裏事情として放送してくれればよかったのですが、今回は全く触れられていませんでした。
そのような点においても、今回の放送はあまり説得力がありませんでした。
たぶんですが、今回の放送を見て水道水を積極的に飲もうと考えた方はあまりいないと思います。
番組に出演している雨上がり決死隊の宮迫さん、蛍原さんや、ケンドーコバヤシさんなどは普段ウォーターサーバーを利用していると話していましたが、たぶん彼らもこれから水道水を飲むとは考えていないのではないでしょうか。
まあウォーターサーバーを使い続けるでしょうね。
正直なところ、私自身も今回の放送を見て水道水を積極的に飲もうとは思えませんでした。
実は番組では、最後に橋本マナミさんによる「水道水をおいしく飲むための方法の映像」を流していたのですが、これは嘘のイメージ映像でした。
番組が何を言いたかったのかというと、「水道水でもミネラルウォーターでも何を飲んでもいいが、イメージに騙されるな」ということです。
確かに私たちはイメージに騙されがちなので、だまされないように注意しなければなりませんね。
私自身は、注意しながらこれからもミネラルウォーターを飲み続けていきたいと思います。イメージにだまされてるのかな(笑)。