ソーラーシェアリングというものを皆さんはご存知ですか。
私自身は知らなかったのですが、「元首相の鳩山由紀夫氏がソーラーシェアリングを絶賛」というニュース記事を見て気になったので調べてみました。
ソーラーシェアリングとはどのようなもので、儲かるものなのでしょうか。(儲かるかが大事ですよね)
目次
ソーラーシェアリングとは
ソーラーシェアリングとは、農業と発電のハイブリッド事業のことです。
まあ簡単に言えば、農地にソーラーパネルを設置して農業と太陽光発電を同時に行ってしまおうというものですね。
鳩山元首相がツイッターで紹介
このソーラーシェアリングを鳩山由紀夫氏がツイッターで絶賛して、現在炎上真っただ中です。
鳩山由紀夫元首相(70)が「畑や水田の上にソーラーパネルを設置すると、作物を育てながら太陽光発電できる」「そのほうが作物がよく育つ。一挙両得で、農家への所得補償は不要となり、原発も不要となる」などと23日までに相次いでツイート。これに対し、「現場を見ないでものを言わないで」「田畑の上にパネルを設置し、太陽光をさえぎるのはおかしい」などと批判や異論が殺到した。
まあ確かに農地にソーラーパネルを設置してしまうと、日光が遮られてしまい農作物が育たないような気がします。
さらに信頼度がほぼゼロに近い鳩山元首相の発言なので、「また馬鹿なこと言ってるの?」と受け止められてしまうのはある意味仕方のないことなのかもしれませんね。
ソーラーシェアリング自体が批判されているというよりは、鳩山元首相自身の信頼性の問題で炎上しているような気がします。
もし信頼できるノーベル賞受賞者などの科学者がソーラーシェアリングについて発言していたら、「へー、そんなものがあるんだ」という声のほうが多いのかもしれません。
というわけで、いったんフラットな目でソーラーシェアリングについて調べてみました。
ソーラーシェアリングって実現可能なの?
私自身農業に詳しいわけではないので、ソーラーシェアリングについて耳にした時の第一印象は眉唾物でした。
ただ調べてみると、すでに実際にきちんとした事業として行われているものとなっています。
「一般社団法人 ソーラーシェアリング協会」という団体が存在し、そちらのホームページによると、
耕作地に地上から3mの位置に藤棚の様に架台を設置し、短冊状の太陽光パネルを幅を持たせて並べ、営農を続けながら太陽光発電を行うことです。作物にとって一定の量以上の太陽光は光合成に利用されず(光飽和点)、強い光は作物にとってかえってストレスとなります。また、遮光率は30%程度で作物の生育に支障がない様に考えられています。このソーラーシェアリングは日本の農業が抱えている農家の後継ぎ不足、農業従事者の高齢化、耕作放棄地などの諸問題を解決する可能性を持っています。
引用元: ソーラーシェアリングとは
私の素人考えからすると、日陰で農作物が育つとは考えていなかったのですが、実際はきちんと育つそうです。
遮光率を30%程度に抑えてソーラーパネルを設置することで、それほど農作物には影響を与えないのですね。
ただ、夏野菜などの太陽光をたくさん必要とする農作物の場合、やはり生育状況がよくないことが多いようです。
一方、それほど太陽光が必要でない農作物の場合は、ソーラーシェアリングも可能となるようですね。
例えばホウレンソウなどの葉物野菜は、過度の太陽光がマイナスに作用することもあるので、このソーラーシェアリングには向いているようです。
これまた知らなかったのですが、野菜には「陽性植物」「半陰性植物」「陰性植物」という日照特性があり、半日蔭・日陰を好む「半陰性植物」「陰性植物」がソーラーシェアリング向きということになります。
鳩山元首相の発言でソーラーシェアリングが眉唾物になってしまっていますが、きちんと実現可能性のあるものだったのですね。
そういえばこんな記事もありました。
太平洋に面する千葉県の匝瑳市。人口は4万人ほどで、大豆や麦の豊かの農地が広がっている。3日、この地に不釣り合いな黒塗りの車が多数集まった。現れたのは、小泉純一郎氏、細川護煕氏、菅直人氏。3人の元総理大臣は、新たな太陽光発電所『匝瑳メガソーラーシェアリング 第一発電所』の落成式に出席した。
小泉元総理などは反原発の活動をしていますが、自然エネルギーの普及も目指しているようです。
ソーラーシェアリングは自然エネルギー普及のためにはなかなかいいものに思えますが、鳩山元首相が活動すればするほど普及が遅れそうな気がするのは気のせいでしょうか。
ソーラーシェアリングは儲かるのか
ソーラーシェアリングが普及するためには、実際に設置したらその設置者が儲かる必要があります。
人間儲からないことは基本的にしませんからね。
太陽光発電は2011年の原発事故以降にかなり普及しましたが、最近はちょっと勢いがなくなってきました。
売電価格も徐々に低下してきて2017年の売電価格は、全量売電の場合24円/kWhとなっています。
売電価格が徐々に下がっているということは、今後儲けることができないのではないかと考えてしまいますよね。
ただ、太陽光パネルの価格も下がってきており、発電効率はアップしてきているので一概に儲けることができないとは言えないようです。
農業は天候などに左右されてしまうので、収入が安定しません。
一方ソーラーシェアリングは一定の売電収入がほぼ保証されるので、設置者の声を聴いているとかなり安心感があるようです。
国はあまり積極的ではないもよう
もしソーラーシェアリングが全国に普及すれば、小泉元総理たちが言うように原発に頼らない社会が可能かもしれません。
しかし現在のところ、あまり国はソーラーシェアリングを積極的に普及させるという感じではないようです。
ソーラーシェアリング協会のホームページを見ると、
・架台の支柱部分を転用とみなし農業委員会の許可無しでは導入不可となります。
・転用は一時転用扱いとして導入計画により許可され、3年ごとに審査し見直されます。
・営農の継続が担保されるとともに、作物の生産に支障がない遮光率で耕作機械の利用可能な空間が確保されている事が必要です。
・支柱は簡易な構造で、技術的、経済的に撤去が担保された計画である事。引用元: ソーラーシェアリング協会
などの制限があるようです。
農業委員会の許可や、3年ごとの審査というのはちょっと面倒くさいですね。
まあ農地の一時転用という扱いなので、仕方のないこととはいえ面倒くさいことは普及の阻害要因となりそうです。
ソーラーシェアリングにかぎらず太陽光発電は、初期費用を10年前後でペイするというシステムになっています。
もし銀行が、ソーラーシェアリングなど太陽光発電のノンリコースローン(非遡及型融資)に積極的になれば一気に普及しそうですが、銀行がそんなリスクをとるとは思えないですよね。(ないこともないようですが・・・)
太陽光発電などはノンリコースローンに向いていると思うのですが、やっぱり銀行はリスクをとらないということでしょうか。
やっぱり一般人にとって10年かかってペイするというシステムは、災害大国日本においてはちょっと怖いものがあります。
台風や地震でソーラーパネルが壊れて、残ったのは借金だけというのはかなりきついです。
高齢化している農家にとって、10年後を見通すのは正直難しいですよね。
そう考えると、ソーラーシェアリングが普及するのはちょっと難しいのかもしれません。
ここは鳩山元首相に資産をすべて提供してもらって普及させるしかないのではないでしょうか。
どうでしょうか、鳩山元首相。一度ぐらいは日本のために働いて見ませんかw