「アトピー性皮膚炎がワセリンで予防できる可能性が!?」というニュースが発表されたようです。
これは小保方さんのSTAP細胞で一躍有名になった「理化学研究所」が発表したもので、アトピー性皮膚炎のメカニズムやワセリンを塗ることでの予防効果についての研究発表となっています。
ヒトにおいてアトピー性皮膚炎患者は、発症後にならないと診断がつきませんが、未発症の皮膚でJAK1を含む信号伝達経路の活性化が起こっている場合、アトピー性皮膚炎を発症する可能性のあること、ワセリンを塗ることで発症が予防できる可能性が示されました。
引用元: アトピー性皮膚炎モデルの原因遺伝子を解明
アトピーは保湿が大事
アトピー性皮膚炎は保湿が大事になることは、アトピーにお悩みの方には常識となっています。
ですので、実際にワセリンを塗ることで保湿をしようとした方はたくさんいるでしょう。
アトピー性皮膚炎の保湿にワセリンを使用することは正直「いまさら感」があるのですが、今回の理研の研究では、アトピー自体のメカニズムについてもきちんと研究されているのですね。
それでは理研が解明したというアトピー性皮膚炎のメカニズムはどのようなものなのでしょうか。
病気の原因となる遺伝子変異を調べたところ、さまざまな細胞の増殖や分化に重要なサイトカインのシグナル伝達因子である「JAK1」分子の遺伝子配列に点突然変異が生じ、JAK1のリン酸化酵素であるキナーゼ活性が増加していることを突き止めました。これにより、発症前から表皮細胞の古い角質が剥がれるときに発現するプロテアーゼ(ペプチドの加水分解酵素)群の遺伝子発現が上昇し、角質による皮膚バリアに機能障害が起こっていることも分かりました。
このマウスの皮膚にJAK阻害因子を塗ったところ、プロテアーゼの発現は抑制され、アトピー性皮膚炎の発症を遅らせることができました。軟膏基質として使われるワセリンを塗ることでも、発症の予防ができました。このとき、皮膚バリア機能も正常と同等に保たれるだけでなく、真皮(表皮の下にある線維性結合組織)の炎症発生も抑制されることが明らかとなりました。
引用元: アトピー性皮膚炎モデルの原因遺伝子を解明
ちょっと難しいですね。もう少しかみ砕いてみていきましょう。
アトピーの遺伝子の変異を調べると、「JAK1」分子という遺伝子の並び方に突然変異が見つかる。
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この「JAK1」の突然変異がアトピーの原因なんじゃないの? ⇓
「JAK1」は、プロテアーゼっていう角質をはがす酵素にも悪影響を与えているんじゃないの? ⇓
じゃあ「JAK1」を阻害する成分を塗るとどうなるのだろう。 ⇓
あれ、プロテアーゼが出てこなくなった。 ⇓
ワセリンでもプロテアーゼ出なくなるかな。 ⇓
ワセリンでもプロテアーゼ出ないや。 ⇓
じゃあ、ワセリンを塗るとアトピーを予防できるかも。 |
このような感じでアトピー性皮膚炎のメカニズムと、ワセリンがアトピー予防に効果がある可能性が見つかったのですね。
うーん、かみ砕いたほうがわかりにくいかな?説明下手ですみませんです。
ワセリンは効果があったりなかったり
アトピー性皮膚炎の患者は、保湿をしないとかゆみに襲われるために、いろいろな方法を試している方が多いです。
先に述べたようにワセリンを塗って保湿をするという方法もよく試されています。
もちろん効果があった方もいますが、効果がなかったという方もいるようです。
私自身はアトピー性皮膚炎ではないのですが、肌が弱くニキビや吹き出物に悩まされています。
ですのでアトピーの方の気持ちもよくわかるのですが、ある方に効果があった方法でも自分自身に効果があるとは限らないんですよね。
これといった特効薬があればいいのですが、現在のところアトピー性皮膚炎の特効薬というものは存在しないのが現実です。
保湿で効果があった方、食事療法で効果があった方、海水療法で効果があった方、脱塩素で効果があった方など、本当に千差万別だと思います。
アトピー改善薬の開発へ
今回の研究発表を見ると、アトピー性皮膚炎が発症するときには遺伝子に何らかの突然変異が起こっているということのようです。
ワセリンを塗るといった対処療法ではなく、この遺伝子の突然変異自体を起こさないようにする薬や、遺伝子の突然変異を元に戻す薬などの開発などにつながってくれるといいんですけどね。
そうすれば、アトピー性皮膚炎を根本的に治癒することができるのではないかと考えられます。
アトピーのメカニズムがわからなければ、「アトピー改善薬」も開発できないでしょうから、今回の研究も意味があるんでしょうね。
是非今回の研究を活用して、一日でも早い根本治療の薬を開発してもらいたいものですね。