奨学金を利用して大学や専門学校に進学している方はたくさんいます。

マイナビニュースによると、大学生の半数以上が奨学金を利用しているようです。

奨学金、学生の半数が受給

日本学生支援機構や大学等の奨学金を受給している学生の割合は、前回調査と比べて全区分で減少。

「大学学部生」における受給率は51.3%(前回比1.2ポイント減)、「短期大学生」は52.9%(同0.5ポイント減)、「大学院修士課程」は55.4%(同5.1ポイント減)、「大学院博士課程」は62.7%(同3.5ポイント減)、「大学院専門職学位課程」は51.8%(同8.9ポイント減)となった。

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これを見ると、少し奨学金を受給する学生の数は減ってきているんですよね。なぜでしょうか。

多少なりとも景気が良くなって親世代の収入が増えてきているからでしょうか。

ただどちらにせよ奨学金が必要な学生はたくさん存在するということですよね。

奨学金を滞納したらどうなるのか?

奨学金を利用するには覚悟が必要

最近、奨学金を返済することができない若者の話をよく聞きます。

奨学金といえば聞こえはいいですが、はっきり言って奨学金は借金であることに変わりはありません。

お金に色はないとよくいいますが、奨学金であろうとお金として借りてしまえば、単純に借金として返済しなければならないということです。

17、18歳の高校生にこの認識を持つことは大変なのかもしれませんが、「自分は借金をしてまでも大学・専門学校に進学しようとしているのだ」という覚悟がないと、この奨学金はただの借金としていずれ自分にのしかかってきます。

逆に言うと、「借金をしてまで進学をするのだから、その費用に見合うだけの成果を出さなければいけない」ということです。

奨学金を滞納している約半数が、「奨学金を返済しなければいけないことを知らなかった」というデータもあります。

知らなかったでは済まされないことが社会にはたくさんありますので、これから奨学金を利用しようと考えている学生さんは、奨学金は借金であるという覚悟をしておいてくださいね。

奨学金の取り立ては結構厳しい

それでは奨学金を滞納するとどうなってしまうのでしょうか。

奨学金は日本学生支援機構(JASSO)からほとんど方が借りていますよね。ではその取り立てを学生支援機構自身が全てするのかというと、そういうわけではありません。

なんとなく、「日本学生支援機構の取り立てなら大したことはないんじゃないの?」と考えている方はいませんか。

世の中はそんなに甘くありません。借金をしている人間にはとことん返還を迫ってきます。

日本学生支援機構は、職員による奨学金の回収以外にも、業務を委託した債権回収会社を利用して借金の返済を迫ってきます。

いわゆる借金取り立てのプロが返済を迫ってくるということです。

もし携帯電話や自宅の電話に出ないで居留守を使っていると、勤務先にまで電話をかけてきます。

もちろん自宅に訪問をして返済を迫ってきますし、保証人にも対しても返済を迫ってきます。

このように奨学金だからといって取り立てに容赦はありません。普通のキャッシング等の借金と変わらないと考える必要があります。

奨学金の取り立ての流れ

奨学金はどのような取り立ての流れとなっているのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

① まず延滞をし始めると学生支援機構からの督促状や電話がきます。この段階できちんと定額の返済をすれば問題はないです。

② それでも返済をしないと、職員からだけでなく債権回収会社からの督促状・電話が来ます。さらに返済が続くと自宅にも訪問してきます。通常3か月間延滞をすると、債権回収会社からの取り立てが始まるケースが多いようです。

③ 2と同時進行で、延滞が3か月間以上になると個人信用情報機関に個人情報が登録されます。日本学生支援機構は全国銀行個人信用情報センター(KSC)に加盟しているので、異動情報(ブラックリスト)に登録されてしまいます。

④ それでもまだ返済をしない場合は、支払い督促をしてきます。民事訴訟法に基づく法的措置として裁判所に訴えられるということです。

⑤ 最終的には強制執行の措置が取られ給料などが差し押さえされてしまいます。

このように奨学金の取り立ても、通常の借金取り立てと何ら変わりがありません。貸し手からすれば奨学金も普通の借金なのです。

自分は大きな借金をするのだという覚悟をもって、返済計画をきちんと立てておきましょう。

ブラックリストに載るとどうなるのか?

奨学金を3か月以上滞納すると、個人信用情報機関に個人情報が登録されます。

日本学生支援機構は全国銀行個人信用情報センター(KSC)に加盟しているので、異動情報(ブラックリスト)に登録されてしまいます。

2008年以前はブラックリストに登録されることはなかったのですが、現在は奨学金を借りる前に、延滞したら信用情報に記載されることへの同意書を取られてしまうので、3か月滞納すると基本的にはブラックリストに登録されてしまいます。

ではブラックリストに登録されてしまうとどうなるのでしょうか。

・住宅ローンが組めない。
・クレジットカードが作れない。
・カードローン・キャッシングが利用できない。
・今持っているカードの新規借り入れができない。

このようにブラックリストに載ると、基本的にお金を借りるということが難しくなってしまいます。

しかも延滞を解消したのち、5年間はブラックリストから消えることはないので、かなりお金を借りることが制限されてしまうので注意が必要です。

延滞利息に注意

日本学生支援機構の奨学金は、無利息の第一種奨学金と利息ありの第二種奨学金の2種類があります。

もし奨学金の返済をせずに延滞してしまうと、延滞利息が必要となってきます。

延滞利息とは、返済が遅れたことによるペナルティー的な利息だと考えてください。

日本学生支援機構が設定している延滞利息は、年率10%となっています。

もし300万円奨学金の返済額があったとしたら、年間30万円の延滞利息が必要になるということです。

もともと利息がある第二奨学金の場合だと、元の利息プラス延滞利息が必要となるので注意が必要です。

10%の延滞利息はかなりきついです。延滞状態にならないよう計画的な返済を心がけましょう。

返済を猶予してもらえる時もある?

「大学や専門学校を卒業したけれど、思っていたよりも給料の額が少ないので奨学金が返済できない」

このようなときはどうすればいいのでしょうか。

返済を待ってもらおう

日本学生支援機構の奨学金には、「減額返還」「返還期限猶予」「返還免除」という制度があります。これらを有効に使いましょう。

減額返還とは

・災害、傷病、経済困難、失業などの返還困難な事情が生じた場合に願い出できる制度です。
・半額ならば奨学金を返済することができる場合に利用します。
・返還金を半額ずつ返還していきます。もちろんその分返済期間は長くなります。

返還期限猶予とは

・災害、傷病、経済困難、失業などの返還困難な事情が生じた場合に願い出できる制度です。
・一定期間「返還を停止し先送りにする」事により、その後の返還がしやすくなります。
・返還しなくてよくなるわけではないので注意が必要です。あくまで一時的に返還をストップできるということです。

返還免除とは

・本人が死亡し返還ができなくなったとき、精神若しくは身体の障害により労働能力を喪失、または労働能力に高度の制限を有し、返還ができなくなったときに、願い出により返還未済額の全部又は一部の返還が免除される制度です。

減額返還・返還期限猶予をうまく利用しよう

先にお話ししたように、奨学金を延滞してしまうと10%の延滞利息が掛かります。

これは非常に厳しい利率なので、もし返済ができない経済的状況や病気になってしまったら、必ず「減額返還」か「返還期限猶予」の手続きをしましょう。

「返還期限猶予」は、以前は最大5年間の猶予期間でしたが、現在は最大10年間の猶予期間が認められています。(毎年届け出をすることが必要となります。)

ただ「返還期限猶予」は、一時的に返済を猶予(ストップ)しているだけなので、いつかは返済をしなければなりません。

ですので、できる限り「減額返還」を利用して返還することをお勧めします。

半分ずつの返済をコツコツとしていくと徐々に元本が減ってくるので、「少しずつでも返済する」ということが大事になってくるのですね。

まとめ

奨学金を利用して進学する人は多いですよね。今は大学生の約半数が奨学金を利用しています。

日本学生支援機構の奨学金は、何となくもらえるお金のイメージがあるかもしれませんが、「借金」です。必ず返さなくてはいけません。

何百万円もの借金をするのだと覚悟して、進学する必要があるということですね。

もし奨学金を返済しないと、3か月間の延滞でいわゆるブラックリストに載せられ、ローンができなくなってしまいます。例えば家を建てようと考えても住宅ローンの審査に通りません。

また年率10%の延滞利息も必要となってしまうので、計画的な返済を心がけましょう。

病気や失業で奨学金が返済できなくなったら、「減額返還」や「返還期限猶予」の手続きをしましょう。

毎月の返還額を半額にしたり、しばらくの間は返還を猶予することができるので、延滞利息を避けるためにも必ず手続きをしておきましょう。