プロ野球日本ハムファイターズが新球場を作る構想を進めているようです。
プロ野球北海道日本ハムが新球場を建設し、札幌ドームから本拠地を移す構想を進めていることが23日、関係者への取材で分かった。
札幌ドームでは実現できていない球場と球団の経営を一体化させて収益力を強化する狙いがある。
本年度中にも候補地を決め、2023年の開場を目指す。引用元: 日ハムが新球場構想 北大や北広島など候補
現在、日本ハムは札幌ドームを本拠地にしているのですが、お客さんは結構入っています。
今年の入場者数の平均が約2万9000人なので、一見すると経営的にはうまくいっているように感じますが、そううまくはいっていないのが実情のようです。
それではなぜ札幌ドームを本拠地にすると、日本ハムファイターズの経営がうまくいかないのでしょうか。
札幌ドームと日本ハムファイターズの関係
日本ハムファイターズは、札幌ドームを試合をするときに借りています。
借りるということは使用料が発生するということですよね。
その使用料が、なんと年間26億5000万円にもなるというから驚きです。
日ハムが本拠地としている札幌ドームが、この4月1日から使用料の値上げに踏み切ったのだ。消費税分の値上げだが、1試合の使用料が4万人の動員でおよそ1600万円に設定されているのでオープン戦も含め年間に70試合ほど使用し、この料金だけで9億円ほど支出していることを考えればバカにならない金額である。
警備費、清掃代なども球団持ちで基本使用料とは別に年間15億円ほどをドーム側に支払っている。
また広告看板代に関しても球団が、2億5000万円で買い取っている。つまり年間、約26億5000万円をドーム側に支払っていることになるのだ。
引用元: 日ハムの球団経営を圧迫する旧態依然の壁
日本ハムに不利な契約
上記のように、札幌ドームと日本ハムファイターズは奴隷契約といっても過言ではないほどの不利な契約状態となっているのですね。
楽天イーグルスなどは球場の指定管理者になることで、観覧車を作るなどの独自色を出していますが、日本ハムは球場で直営のグッズ販売店も出店できないというのはちょっとかわいそうすぎます。
さらに食品を取り扱っている親会社なのに、球場の飲食店の運営・売り上げが全て札幌ドーム側にあるというのも悲惨です。
横浜DeNAと横浜スタジアムの関係もかなり奴隷契約的なものと言われてたいのですが、DeNAが横浜スタジアムの会社の株を買い取ることで、こちらも今後は自由な球場運営ができるようになりました。
今回の新球場建設費用は、200億円~500億円となる予定になっていますが、年間27億円以上も札幌ドーム側に搾取されるのならば、単純計算で8年~18年程度で建設費用がペイできてしまう新球場を建設しようと考えるのは当然のことだと思います。
このように500億円で天然芝+開閉式のドーム球場が作れるのなら、企業判断としては新球場建設に傾くのは必然だと思います。
今回の新球場構想は、札幌ドーム側に対するブラフではないのかという噂もありますが、私自身は本気で新球場構想を考えているのではないかと思います。
札幌ドーム側は日本ハムの減額の要求を蹴って、今年の4月からさらに使用料の値上げをしたんですよね。
この辺りの札幌ドーム側の対応に、日本ハム側が正直ぶちぎれたというところも、新球場構想の要因の一つのような気がします。
さらに噂では札幌ドームの改修費用200億の半分、100億円の負担も日本ハム側は求められたとか・・・。
私が日本ハム側の人間なら、本気で新球場の建設に着手すると思います。
しかしながら、事はそうすんなりと進むのでしょうか。
札幌ドームは黒字から赤字へ
現在の札幌ドームは黒字で運営されています。優良会社ですね。
しかしその黒字は、日本ハムファイターズの赤字によって黒字になっているといっても過言ではありません。
株式会社札幌ドームは、「札幌ドーム」の指定管理者として「札幌ドーム」の管理運営をするいわゆる第三セクターなのですが、役員は北海道の大企業や札幌市などからの天下り先となっています。
もし日本ハムが札幌ドームを捨てて新球場を建設すると、間違いなく札幌ドームは赤字運営になってしまうでしょう。
北海道の大企業・行政の大事な天下り先を、そう簡単に赤字にするわけにはいかないですよね。
たぶんですが、札幌ドーム側もあの手この手で巻き返してくると思われます。
それでは落ち着く先、落としどころはどのあたりとなるのでしょうか。
球場使用料の減額
まず一番最初に考えられるのは、札幌ドーム使用料の減額によって日本ハムをとどめるという方法ですよね。
ただ株式会社札幌ドームとして黒字を保つには、大幅な減額はあまり考えられないのではないでしょうか。
それ以外にも、球場の飲食売り上げ・運営や、広告料などでいろいろな交渉があるのかもしれません。
しかしながら現在プロ野球のほとんどの球団は、球場と資本関係があるか、球場の指定管理者になるかという方法で、できる限り黒字を目指そうという方向性に向かってきています。
そう考えると、札幌ドームの指定管理者に日本ハムファイターズがなるという方法もあるのかもしれません。
指定管理者の変更は?
しかしながら日本ハムファイターズが札幌ドームの指定管理者になると、株式会社札幌ドームの存在意義がなくなりますよね。
大事な天下り先がなくなってしまうかもしれません。
そう考えると、日本ハムが指定管理者になるという方法は可能性が低いと思われます。
では横浜ベイスターズのように球場の株を買い取ってしまうという方法はどうなのでしょうか。
札幌ドームの買い取り
ややこしいところなのですが、札幌ドームは札幌市が所有しており、その指定管理者として株式会社札幌ドームが運営・管理を行っています。
先ほどお話ししたように、株式会社札幌ドームは第3セクターとして、大事な大事な天下り先となっています。
となると札幌ドームを日本ハムファイターズが買い取ってしまうと、指定管理者に日本ハムがなるのと同じように株式会社札幌ドームの存在意義はなくなるということですよね。
イコール大事な天下り先がなくなるということです。
そう考えるとこの札幌ドームの買い取りも、実現可能性が低いのではないでしょうか。
今後どうなるのか?
結局のところ、考えられるのは3つの方法のどれかになると私は思います。
1、新球場の建設
2、札幌ドーム使用料の減額
3、北海道以外への球団移転
新球場の建設に関して日本ハムは否定の発表をしていますが、ここまで報道が出るということは水面下で間違いなく話は進んでいると思われます。(まあ日経名物飛ばし記事の可能性はありますが、報道しているのは日経だけではありませんので)
そう考えるとやはり、1の新球場の設立の可能性が一番高いのではないでしょうか。
2の札幌ドーム使用料の減額が現実的な落としどころですが、日本ハム側としては大幅な減額がないとそう簡単に交渉がまとまらないと思います。
大幅な減額や改修・補修費用の負担など乗り越えるべきハードルも高いですよね。
3の北海道以外への移転は、あまり現実味がないのかもしれません。
日本ハムファイターズはかなり北海道に根付いてきたので、日本ハム側としてもリスクが大きいような気がします。
ただあまり札幌ドーム側が日本ハムに嫌がらせをし続けると、ぶちぎれての移転もないとは言えないのかもしれないですね。
静岡や新潟などは揉み手をして待っているのではないでしょうか。
私自身は野球ファンなので、開閉式の天然芝のボールパークを見てみたいという希望はあります。
「北海道の大雪に開閉式の屋根が耐えれるのか?」という問題などもあると思いますが、新球場を見てみたいですね。
すぐに結論が出る話ではないと思いますが、今後も興味深く見ていきたいと思います。