アメリカの財務省は、日本や中国などを為替操作国監視リストに指定したようです。

日本・中国・ドイツ・韓国・台湾の5か国が為替操作国監視リストに挙げられているのですね。

アメリカ財務省は各国の為替政策に関する最新の報告を公表し、通貨を意図的に安く誘導する為替操作への監視を強化するため、中国や日本など5つの国と地域を新たに設ける「監視リスト」の対象にして動向を詳しく分析していくと発表しました。

あくまで為替操作国監視リスト

まあこれはあくまで監視リストに指定されたということで、為替操作国に認定されたわけではありません。

しかしながら最近は円高傾向なので、今後一層円高ドル安が進むのではないのかという懸念が出てきているのですね。

現在アメリカでは大統領選挙の予備選が行われていますが、共和党の指名選でトップを走るドナルド・トランプ氏は、「中国を為替操作国に認定する」と発言していましたよね。

民主党の指名選挙を争っているヒラリー・クリントン氏も、「日本や中国は為替操作を行っている」と以前に発言していたことがあります。

そう考えると、トランプ氏・ヒラリー氏のどちらが大統領になったとしても、今後日本が円安政策を実施していくのはなかなか難しい環境となってしまうのではないでしょうか。

やはり円高に進んでいくのか?

4月28日に日銀の金融政策決定会合があったのですが、追加緩和の実施見送りが賛成多数で決定されました。

これにより、一時1ドル106円台に突入するなど、一気に円高が加速しました。

なぜこんなに一気に円高が進んだのかというと、市場では日銀会合の前に追加緩和がされるのではないかという期待がされていたからという面もあるようです。

日高正裕、ジェームズ・メーガ

日本銀行が来週開く金融政策決定会合で追加緩和に踏み切るとの見方が、エコノミスト調査で6割近くに達した。手段としては、金利・量・質の3次元のうち質の拡大を見込む向きが多く、指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れを10兆円追加するとの見方もある。

投資家の間では今回の下落が「日高ショック(ブルームバーグの日高記者の発言によって量的緩和の期待が高まったことに対する反動のこと)」などといわれていますが、今回の為替操作国監視リスト入りは円高を加速していくような気がします。

今回の「日高ショック?」では、日銀の追加緩和見送りの発表後、1分間でドル円が2円下落、日経平均先物が700円以上下落するなど、まさに直滑降やナイアガラと呼ぶのがふさわしいほどの下落となってしまいました。

まあ一時的な円高ならそれほど問題はないのですが、今回の為替操作国監視リスト入りというのは、円買いを仕掛けるヘッジファンドなどから見ると安心感のある発表となってしまいますよね。

正直なところ円高になるかは、ヘッジファンドなどが円買いを仕掛けてくるかどうかなので、彼らに円買いを仕掛けられるとなかなか円高は止まらなくなってしまうと思います。

さらに今回のアメリカ財務省の報告によると、日本の政府内からのたびたびでる円高を抑えるための市場介入を示唆するかの発言について、「今の円相場の動きは特に無秩序な動きではない」と日本をけん制してもいます。

このようなけん制をされてしまうと、いわゆる口先介入すらするのが難しくなってしまうかもしれません。

アメリカが予定通り利上げをしてくれればいくらか円安に向かいそうな気もするのですが、現状の予想ではアメリカの利上げもしばらくの間見送られるのではないかと考えられています。

そうなると、円高に歯止めがかからないという可能性もありますよね。

私自身の予想では、ヘッジファンドの仕掛けにより1ドル100円を割り込むことも十分にあり得るのではないかと思っています。(あくまで私の予想です。紫のおばさまのように、当たらない予想なので参考にしないでくださいね。)

円高が進むと株安に

現在の株式相場は、円高円安とほぼリンクして動いています。

円高になれば株価が下落して、円安になると株価が上昇するのですね。

そう考えると、このまま円高が進んでいくと株価が下落していくということになるのですが、日本では今年の夏に参院選が控えているので、政府としてはそれまではどうにかして株価を下落させたくないと思っているでしょう。

ただ、政府の打つ手というのは非常に手詰まり感がありますよね。

高齢者に3万円を給付する「高齢者給付金」も不評でしたし、低所得者の若者に商品券を給付するという案も景気回復につながるとは到底思えません。

消費税率アップを延期するという方法もありますが、こちらも不透明な情勢です。

参院選までは何とか株価対策をするのかもしれないですが、反動でそのあとが不安になりますよね。

パナマ文書の実名公表が5月10日に発表されるようですし、5月は「sell in may(セルインメイ)」とも言いますし、しばらくは株も為替も買いで入ることは避けたほうが無難なのでしょうか。

「君子危うきに近寄らず」「休むも相場」という先人の格言を参考にしたほうがいいのかもしれませんね。

最後に、次回の日銀政策委員会・金融政策決定会合は6月15日・16日に予定されています。

ここで潮目が変わる可能性があるので注目しておきましょう。