満月ダイエットという言葉を初めて聞きました。

女優の藤原紀香さんが2016年5月22日、月の満ち欠けとダイエットの関係についてブログで持論を展開した。紀香さんによれば、ダイエットは「満月の日」から始めた方が、「月が欠けていくパワー」の影響で成功しやすいという。

紀香さんといえば、効果が疑問視される「水素水」にハマっていることが話題を集めたばかり。ダイエットに関して「ムーンパワー」に言及したブログの内容もあわせて、ネット上では「大丈夫なのか」と心配する声も相次いでいる。

糖質制限ダイエット・水ダイエットなどなど、ダイエットにはいろいろな方法がありますが、満月ダイエットという方法もあるのですね。

満月ダイエットについて検索してみると、本当にそのようなダイエットがあるのでちょっと驚きました。

満月ダイエットとは

満月ダイエットとはムーンダイエットとも呼ばれており、単純に説明すると「満月が欠けていくのに合わせてダイエットをすると痩せやすい」という、ちょっとスピリチュアルなものです。

もう少し説明をすると、「新月から満月にかけては栄養を吸収しやすくなるので太りやすく、満月から新月にかけては老廃物を排出するデトックス効果があるので痩せやすくなる」そうです。

もちろん科学的な根拠はありません。

まあ鰯の頭も信心からといいますからね。

満月ダイエットに特別な害はないと思うので、満月パワーを信じる方にとっては効果があるのかもしれません。

感受性というのは人それぞれなので、特に否定をするつもりはありませんが、藤原紀香さんがちょっと心配になってしまうのは私だけでしょうか。

月の影響

月が地球に与える影響

確かに地球は月の影響を受けています。正確には月の重力は地球に影響を与えています。

月の満ち欠けによって潮の満ち引きを起こす潮汐作用があることは、歴然とした事実です。

この潮汐作用により、地球の自転速度がおよそ10万年に1秒の割合で遅くなっており、月と地球の距離は年間約3.8cmずつ離れていっています。

「1年間でたった3.8cmかよ」と思わないでください。1億年だと3.8億センチ(3800キロ)も離れるということです。

月の重力は、これほど地球に影響を与えているということですね。

また満月・新月と地震が関連しているということもしばしば語られます。

地中には地下水がたくさん含まれているので、それらが月の引力の影響を受ける可能性はあるかもしれません。

ただ地震のすべてが満月・新月に起こっているわけではないのも事実です。

月と地震のデータ統計を取っている人は多いようですが、さらなる研究結果を待ちたいです。

月が動植物に与える影響

月が動植物に与える影響はあるのでしょうか。

満月の日に産卵するウミガメやサンゴの話は有名ですよね。満月に産卵するカニの大移動もよく聞きます。

ただこれは大潮の時に産卵をしているのであって、満月だからではないという理論もあるようです。

まあ満月・新月=大潮であることには変わりはないので、満月の影響と言えばそういえるのかもしれないですね。

これら動植物と満月・新月との関係は、なかなか科学的に証明することは難しいです。

目の前に起こっている現象はわかりやすいのですが、なぜその現象が起こっているのかを証明することは難しいということですね。

しかし昔の人々は体験的に満月と動植物の関連性についていろいろと利用しているようです。

例えば「新月伐採」というものをご存知でしょうか。

新月伐採

新月伐採とは、下弦の月から新月の間に木を伐採することです。

この時期に木を伐採すると、その木材は腐りにくく、カビや虫の影響を受けにくくなるそうです。

この新月伐採も科学的に肯定されているものとはいいがたいのですが、多くの木材関連の仕事をしている方に今でも信じられているものです。(もちろん否定している方もたくさんいます。)

このように現在においても、月と植物の影響を利用していることもあるのですね。

月が人体に与える影響

それでは月が人体に与える影響もあるのでしょうか。

これについても様々な説がありますが、「バイオタイド理論」などと呼ばれ多くの方に信奉されていますね。

アメリカの精神科医アーノルド・リーバーによる「月の魔力」という本を私も読んだことがあります。

この「月の魔力」は、月が人間に及ぼす影響をいろいろと書かれた本となります。

月の魔力

月の魔力を簡単に説明すると、「海水が月の重力によって満ち引きを繰り返すように、私たちの体内の血液・水分も月の重力によって影響を受けているはずだ。」というものです。

で、満月の日には殺人や交通事故や殺人が増えるといったように、月の人間の関連性についていろいろと書かれています。

おもしろかったですよ。この「月の魔力」は。

まあこれが正しいかどうかは別として、月というものは人間にとってなかなか魅力のあるものなので、何らかの影響はあるかもしれないと考えるのはなかなかロマンがあって好きです。

ただ月と人間の関連性についてのデータとしては、「月の魔力」では正直足りていないといえるでしょう。

もっと詳しく月と人間の関連性を調べたデータはないのでしょうか。

満月と魔力の謎 黒木月光著

元兵庫県警の警察官である黒木月光さんは、満月に交通事故が多いことを不思議に思い、月と人間の関連性についていろいろと調べました。

それをまとめた著書が「満月と魔力の謎」という本になります。

黒木さんは、まずは兵庫県下の10年間の交通事故のデータを調べました。

そうすると上弦の月と下弦の月の2日前に人身事故が多いことがわかり、満月・新月の時期に死亡事故が多いことがわかりました。

さらに10年間の全国の交通事故(人身事故580万件・死亡事故9万4千7百件)を調べました。

すると同じように上弦の月と下弦の月の2日前に人身事故が多く、満月3日前に死亡事故が多いという兵庫県下のデータと同じ傾向が出たそうです。

詳しくは「満月と魔力の謎」を読んでもらえたらと思いますが、600万件近いデータを調べるというのはすごいですね。

それに一定の傾向があるということを発見したのもすごいと思います。

黒木さんはこのような現象が起こる理由を、リーバーのバイオタイド理論に求めていますが、科学的になぜこのような傾向が出るのかは謎のままだと思います。

しかし一定のデータが出ているので、車に乗るときは上弦の月と下弦の月の2日前、さらに満月の3日前には交通事故に気を付けるといいのかもしれないですね。

この黒木さんの研究結果はもう少し注目されてもいいと思うんですけどね。

手入力で600万件のデータを入力するのは、尊敬します。その努力に敬服です。

満月ダイエットに話を戻すと

藤原紀香さんの満月ダイエットから、ちょっと話がそれたような気がします。

話を満月ダイエットに戻すと、正直私自身は満月ダイエットについては信用していません。

あまりに科学的データがなさすぎますからね。

まあ冒頭でも述べたように、満月ダイエットをしたからと言って何か害があるわけではないと思います。

鰯の頭も信心からというように、信じてみるのも一つの手かもしれません。大事なのは痩せるという結果ですからね。

ただ満月ダイエットに失敗したからと言って、お月様を恨むのは筋違いなのでやめてくださいね。(もちろん紀香さんを恨むのも筋違いなのでやめましょう。)

たぶんダイエットが失敗したのは、カロリーオーバーですから・・・。